英検準1級を目指すことは、英語力をさらに高めたいと考える学習者にとって、大きな目標の一つです。
単に語学スキルを証明するだけでなく、学業や就職活動、さらには留学準備など、さまざまな場面で有利に働く資格としても知られています。
とはいえ、英検準1級は決して容易な試験ではありません。
高度な語彙力や読解力、論理的な思考に基づく表現力、さらには実践的なコミュニケーション能力まで、総合的な英語力が求められます。
その分、合格したときの達成感は非常に大きく、多くの受験者にとって忘れがたい経験となるでしょう。
この記事をご覧になっている方の多くは、「どのくらいの得点で合格できるの?」「何問正解すればいいの?」「新しい試験制度で何が変わったの?」といった疑問をお持ちかもしれません。
ここでは、新課程に対応した英検準1級の合格基準について詳しくご紹介します。
スコアの仕組みや正答率の目安、配点に関する考え方など、知っておきたいポイントを一つひとつ分かりやすく解説していきます。
英検準1級|新課程における合格ラインとは?スコアと正答数の目安を詳しく解説
英検準1級の受験を検討している方にとって、「どのくらい正解すれば合格できるのか」という点は最も気になるポイントの一つでしょう。
従来のように単純な点数で合否が判断される仕組みではなくなったため、基準がやや分かりにくくなっています。
現在の英検では、「CSEスコア(英検CSEスコア)」という独自の評価基準が導入されています。
このスコアに基づき、一次試験では1792点以上、二次試験では512点以上が合格の目安とされています。
ただし、このスコアは単純な正解数に比例して決まるものではありません。
出題された問題の難易度や、他の受験者全体の得点傾向なども加味されて算出されるため、「〇問正解すればOK」といった明確な基準は示されていないのです。
また、英検を実施する日本英語検定協会も、CSEスコアを個人で計算することはできないと公表しており、自己採点からスコアを予測することは困難です。
では、どの程度を目指せば合格が現実的になるのでしょうか?
一般的には、全体の正答率が70%前後であれば合格圏内に入るとされています。
ただしこれはあくまで一つの目安であり、試験全体の得点バランスによって合否が左右されることもあります。
特定の技能がやや低くても、他の技能で高得点を取ることで補える設計になっているためです。
なかでも注目したいのがライティングの重要性です。
準1級では、ライティングセクションがCSEスコアに与える影響が大きいため、ここで高評価を得ることが合格の決め手になることも少なくありません。
実際、リスニングやリーディングで苦戦しながらも、ライティングで挽回して合格を勝ち取った人が多くいます。
なお、英検準1級の合格率は公式には公表されていませんが、過去の情報から推測すると15〜20%前後であると考えられています。
特に高校生の場合は、さらに合格率が低くなる傾向にあり、決して簡単な試験ではありません。
とはいえ、しっかりと試験の特性を理解し、自分の得意分野を活かした戦略的な学習を行えば、十分に合格を目指せる試験です。
CSEスコアの仕組みや配点の特徴を押さえたうえで、効率的に対策を進めることが、合格への最短ルートといえるでしょう。
英検準1級|新課程に対応した試験内容と出題傾向を詳しく解説
合格の目安がつかめたところで、次に押さえておきたいのが試験そのものの構成と出題の傾向です。
英検準1級は、一次試験(筆記・リスニング)と二次試験(面接)の2ステップで構成されています。
■ 一次試験の内容と特徴
一次試験は約2時間にわたって実施され、筆記(リーディング・ライティング)とリスニングの2つのセクションで構成されます。
・筆記セクション(90分)
リーディング問題では、語彙の空欄補充、長文読解、文章の内容に関する設問などが出題されます。
2024年度の試験改革で一部構成が見直されましたが、出題形式そのものには大きな変更はありません。
ただし、取り扱われる語彙は高度で、時事問題、アカデミックなテーマ、社会問題などが多く取り上げられています。
日常会話ではなかなか使わないような単語が頻出するため、語彙力が合否を左右すると言っても過言ではありません。
・ライティング(リーディングと同時間内で実施)
新課程では、2つの課題が出題されます。
1つは、200語前後の英文を読んでその要旨を60〜70語に要約する問題。
もう1つは、与えられた社会的テーマについて、自分の意見を120〜150語で論じるエッセイ形式の問題です。
後者は、「序論 → 本論(2つの観点を提示) → 結論」という構成が基本となっており、論理的に意見を展開する力が求められます。
このライティングはCSEスコアへの影響が大きく、得点を稼ぐ上で非常に重要なパートです。
・リスニング(約25分)
リスニングは3つのパートに分かれており、日常会話やナレーション、アナウンスなど、さまざまな音声が出題されます。
すべての音声は一度しか流れず、聞き逃しが許されないため、集中力が問われるセクションです。
スピードはやや速く、内容も抽象的または専門的な傾向があるため、慣れが必要です。
とはいえ、すべての細かい部分を聞き取る必要はなく、話の要点や主旨を捉える能力が重要になります。
■ 二次試験(面接)の内容と対策のポイント
一次試験に合格すると、続いて行われるのが二次試験(スピーキング)です。所要時間は約10分で、試験はすべて英語で進行されます。
試験内容としては、4コマ漫画を使った描写説明、テーマに基づいた質問への応答、自分の意見を即興で述べる課題などが含まれます。
出題されるテーマは一次試験と同様に、社会性や時事性のあるものが中心で、一定以上の語彙力と論理的思考が求められます。
このセクションでは、瞬時に意見を構築して英語で表現する力、柔軟な対応力、そして会話をスムーズに進めるコミュニケーション力が問われます。
試験官とのやり取りに落ち着いて対応できるかどうかも、評価に大きく関わる要素です。
■ 試験全体の印象と難易度
英検準1級は、単語を覚えるだけでは乗り越えられない、実践的かつ総合的な英語力を求める試験です。
長文読解や要約、エッセイ執筆、リスニングの精度、そして即時応答によるスピーキング能力など、英語の「読む・書く・聞く・話す」すべての力がバランスよく試されます。
そのレベルは、大学中級程度に相当するとされ、試験で扱われるテーマも社会的・学術的な要素を多く含みます。
つまり、英語力だけでなく、背景知識や論理的な思考力も問われるということです。
英検準1級の受験を検討している方は、こうした試験の構成と傾向を正しく理解した上で、自分の弱点を把握し、的確な対策を行うことが合格への第一歩となります。
計画的に学習を進め、試験当日に自信を持って臨めるよう、しっかりと準備を整えていきましょう。
英検準1級|新課程に対応した効率的な学習法を徹底解説
英検準1級の試験内容や構成を理解したら、次は具体的な学習法に目を向ける段階です。
準1級は難易度が高いことで知られていますが、着実に準備を進めていけば、十分に合格を狙える試験でもあります。
■ まずは自分の英語力を正確に把握する
効果的な対策を始めるには、今の自分の実力を正しく知ることが重要です。
英検の公式サイトでは過去問題が公開されているので、本番と同じ時間配分で実際に解いてみることで、得意分野と苦手分野を明確にすることができます。
この「現状分析」が、今後の学習の指針になります。
■ 語彙対策は最優先課題
準1級を突破する上で、最大の関門となるのが語彙力です。
専門的・抽象的な単語が多く出題されるため、基礎単語だけでは太刀打ちできません。
『パス単 準1級』のようなレベルに応じた単語帳を活用し、語彙を系統立てて覚えることが不可欠です。
単語を覚える際には、意味だけでなく発音や使われる文脈(コロケーション)にも意識を向けましょう。
例えば「efficient」という単語は、「efficient system」「efficient method」といった使われ方も一緒に学ぶと理解が深まります。
通勤時間や休憩中などの隙間時間を活用することで、無理なく語彙力を積み上げることができます。
また、英語ニュースや英字新聞を日常的に読む習慣をつければ、実際の使用場面での語彙に触れられるので、記憶の定着にも効果的です。
■ リーディング対策:スピードと理解力を両立する
リーディング問題では、文構造の把握と設問形式への慣れが重要です。
文章全体を逐一訳すのではなく、段落ごとの要点や論理展開に注目して、内容を素早く把握する練習をしましょう。
接続詞や転換表現(however, therefore, for example など)に注意を払うと、文章の流れがつかみやすくなります。
また、本文を読む前に設問を確認し、何が問われているのかを把握してから読み始める「先読み」のテクニックも有効です。
■ ライティング対策:構造を意識した表現力の養成
英検準1級のライティングでは、「要約」と「意見論述」の2つの課題に対応する必要があります。
とくに意見論述では、序論・本論・結論という明確な構成で、与えられたトピックに対して自身の意見を論理的に展開する力が求められます。
あらかじめ自分なりのテンプレート(例えば「序論では背景と自分の立場を述べる」「本論では2つの理由を挙げる」など)を準備しておくと、本番でも落ち着いて文章を構成できます。
社会問題や環境、教育といった頻出テーマに対し、賛成・反対の両方の立場で考える練習を積むことで、柔軟な論述力が養われます。
書いた英文は、できるだけネイティブスピーカーや英語指導の専門家に添削してもらうのが理想的です。
要約問題については、英文中の主張やキーワードを的確に捉え、自分の言葉で簡潔にまとめる練習が必要です。
■ リスニング対策:日常的な接触とシャドーイングの活用
リスニング力を伸ばすには、毎日少しずつでも英語の音声に触れる習慣が大切です。
ポッドキャスト、海外ニュース、YouTubeなどを活用し、実際のスピードや発音に耳を慣らしていきましょう。
内容をすべて完璧に聞き取る必要はありません。最初は話の流れや要点、登場人物の意図をつかむことを目指します。
シャドーイング(音声を聞きながらすぐに声に出して繰り返す練習)は、発音・リズム感・理解力を総合的に鍛える方法として非常に有効です。
■ スピーキング対策:実際に話す練習を重ねる
二次試験の面接では、即興で意見を述べたり、イラストを説明したりと、実践的な英語力が求められます。
声に出して話す練習を繰り返すことで、自信と反応の速さが身につきます。
過去問や予想問題のイラストを使って、時間を計りながら実際に説明してみると、試験本番を想定した練習になります。
また、ライティングで学んだ語彙や表現は、スピーキングでもそのまま使えるため、両者を連動させて対策を進めると効率的です。
まとめ:継続的な学習こそ合格への近道
英検準1級に限らず、語学力の向上には「継続」が何よりも重要です。
一日で劇的に変化することはありませんが、毎日の小さな積み重ねがやがて大きな成果へとつながります。
自分に合った学習計画を立てて、無理なく続けることを意識しましょう。
もし一人での学習に限界を感じたら、英検対策に特化した塾やオンラインスクールの利用も検討してみてください。
特にライティングやスピーキングは、他者からの客観的な指導が大きな効果を生みます。
英検準1級は決して簡単な試験ではありませんが、それだけに合格したときの達成感は大きなものです。
この試験に向けて努力する過程は、あなたの英語力だけでなく、自信や表現力も大きく育ててくれるはずです。
焦らず、一歩ずつ着実に前進していきましょう。あなたの挑戦を心から応援しています。