しいたけは、煮ても焼いても美味しい万能食材。けれど「どれくらい茹でればいいの?」と悩んだことはありませんか?
茹で時間が短すぎると生っぽく、長すぎると風味や食感が損なわれてしまうことも……。
実は、しいたけの状態(生・冷凍・干し)によって最適な茹で時間が異なります。
さらに、うま味を引き出すには“温度帯”にもポイントがあるんです。
この記事では、そんな「しいたけの茹で時間」を用途別にわかりやすく解説。美味しく仕上げるコツや、戻し汁・茹で汁の再利用術まで、家庭で今日からすぐに使える情報をたっぷりお届けします。
しいたけの茹で時間がすぐわかる!調理用途別の早見表
しいたけは、状態によって茹で時間が変わります。
下記の表に、よく使われる4つのパターンをまとめました。
しいたけの状態 | 目安の茹で時間 | おいしく仕上げるポイント |
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生しいたけ(丸ごと) | 3〜5分 | 中火でお湯が沸騰してから投入。傘が少し縮み、ツヤが出てきたら食べ頃です。 |
生しいたけ(スライス) | 1〜3分 | 薄く切ってある分、火の通りが早く、短時間で香りと食感が引き立ちます。 |
冷凍しいたけ(凍ったまま) | 7〜10分 | 解凍せずそのまま茹でてOK。じっくり加熱することで、旨味がスープに溶け出します。 |
干ししいたけ(戻した後) | 5〜6分 | 冷水で戻した後、その戻し汁ごと茹でると風味が一層濃くなります。 |
覚えておきたい基本ポイント
生しいたけは丸ごとなら3〜5分、スライスなら1〜3分、冷凍しいたけは7〜10分、干ししいたけは戻した後に5〜6分加熱。これさえ知っておけば、どんな料理にも応用できます。
風味を引き出すコツ|60〜70℃の“旨味温度帯”を活用
しいたけには「グアニル酸」という旨味成分が含まれています。
この成分は、60〜70℃の温度帯で最も活性化しやすいと言われており、この温度をゆっくり通過させることが、より深い風味を引き出すポイントになります。
そこでおすすめしたいのが、「冷たい水からゆっくり加熱する」調理法です。
鍋に水としいたけを一緒に入れ、弱火〜中火でじわじわと加熱していくと、60〜70℃をしっかり通過でき、旨味が鍋の中で花開きます。
一方で、いきなり沸騰したお湯に入れてしまうと、この旨味温度帯を一瞬で通り過ぎてしまい、せっかくのグアニル酸が十分に抽出されないまま加熱が終わってしまうことも。
料理の目的に合わせて、「風味をじっくり楽しみたいときは水から加熱」「時短したいときは沸騰後に入れる」など、温度と茹で方をうまく使い分けると、しいたけの魅力がより引き立ちます。
③|タイプ別・しいたけの茹で方ガイド
しいたけは、状態によって最適な茹で方が異なります。
それぞれの特徴を活かした調理法を知ることで、より美味しく、香り高い仕上がりになります。
A. 生しいたけ(丸ごと・スライス)
【下ごしらえ】
まずは軽く水で汚れを洗い落とし、軸の根元の硬い部分だけを包丁でカットします。
汚れがひどい場合は、濡らしたキッチンペーパーで拭き取ってもOKです。
【丸ごとの茹で方】
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鍋にたっぷりの水を入れて中火で沸騰させます。
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沸騰したらしいたけを入れ、再沸騰後に3〜5分ほど茹でます。
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傘がやや縮み、表面にツヤが出てきたら火が通ったサインです。
【スライスの茹で方】
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生しいたけを5mm程度の薄さにスライスします。
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沸騰したお湯に入れて、1〜3分程度加熱すれば十分です。
👉 ポイント
茹で上がったらすぐにザルにあげ、水気を切ったあとでキッチンペーパーなどで軽く拭いてあげると、ぬめりや臭みが軽減され、よりさっぱりといただけます。
B. 冷凍しいたけ(凍ったまま調理OK)
近年では、瞬間冷凍された「成熟型冷凍しいたけ(matured frozen)」が増えており、鮮度や風味を保ったまま手軽に調理できます。
【フライパン調理の場合】
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冷凍のままのしいたけをフライパンに並べます。
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中火で傘の面を3分ほど焼き付けて香ばしさを引き出します。
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酒やバターを加えてフタをし、さらに5〜10分蒸し焼きにします。
【茹でる場合】
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鍋に水と冷凍しいたけを一緒に入れ、水から加熱して7〜10分程度茹でます。
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薄切りタイプなら2〜3分でもしっかり火が通ります。
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傘がしんなりしてきたら完成です。
➡ 冷凍しいたけは解凍の手間がなく、そのまま調理できるのが魅力。旨味も煮汁に溶け出すため、スープや煮物にぴったりです。
C. 干ししいたけ(戻し後の調理)
Step 1|干ししいたけの戻し方
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最も旨味が引き出されるのは、冷蔵庫での低温水戻し(5℃前後)で6〜10時間かける方法です。
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温かいお湯で15〜30分戻すよりも、グアニル酸(旨味成分)の生成量が約320倍多いという研究結果もあります。
➡ スライスされた干ししいたけであれば、6時間ほどでも十分戻り、香りのバランスも整います。
Step 2|茹で方
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戻したしいたけと、その戻し汁ごと鍋に入れ、中火で加熱します。
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沸騰したら火を弱め、5〜6分ほどコトコト煮込みます。
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アクが出た場合は、丁寧に取り除いてください。
➡ 戻し汁には豊富な旨味が含まれているため、捨てずに一緒に加熱することで味わいがさらに深まります。
Step 3|戻し汁の活用
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戻し汁はスープや炊き込みご飯、めんつゆに加えると風味がぐっと増します。
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使う目安としては、250mlの水に対して大さじ1〜2杯の戻し汁を加えるとちょうどよいバランスです。
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余った戻し汁は冷蔵で約1週間保存可能。製氷皿で冷凍すれば、1回分ずつ便利に使えます。
④|よくある質問(FAQ)
Q1. 茹で汁は捨てるべきですか?
A. いいえ、むしろ再利用がおすすめです。
茹で汁にはしいたけの旨味がたっぷりと溶け出しているため、スープや煮物に活用すると料理の味がワンランクアップします。
Q2. 干ししいたけが黒ずんでしまったのですが、大丈夫?
A. はい、問題ありません。これは「ポリフェノール」という成分が酸化したことによる自然な変色で、栄養や味には特に影響ありません。
Q3. 電子レンジでも加熱できますか?
A. はい、可能です。耐熱容器にしいたけと少量の水を入れ、ラップをふんわりとかけて600Wで2〜3分加熱すると、蒸し煮のように火が通ります。
Q4. 茹で時間を短縮しつつ、旨味を引き出すには?
A. 干ししいたけをスライスで戻し、戻し汁と一緒に加熱すると、短時間でも風味豊かに仕上がります。戻す際は、ぬるま湯よりも冷水を使う方が旨味成分がしっかり引き出されるのでおすすめです。
⑤|保存のコツと旨味ストック術
しいたけを美味しく茹でたあとは、保存や再利用の工夫次第で、料理の幅がぐっと広がります。
ここでは、保存方法と旨味のストックアイデアをご紹介します。
A. 茹でたしいたけの保存方法
●冷蔵保存
茹で上がったしいたけは、粗熱をしっかり取ったうえで密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存しましょう。おおよそ3〜4日以内で食べきるのが安心です。
●冷凍保存
しっかり冷ましたあと、1回分ずつラップに包んでから冷凍用の保存袋へ入れ、冷凍庫で保存します。風味を保てる目安は約1か月程度です。
➡ 時間のないときでも、解凍せずにそのままスープや炒め物に使えるため、とても便利です。
さらに、冷凍する前に少量のオリーブオイルを絡めておくと、食感と香りが損なわれにくくなります。
B. 戻し汁や茹で汁の活用法
しいたけの戻し汁や茹で汁には、旨味成分がたっぷりと含まれています。
ただ捨ててしまうのはもったいないので、料理に再利用するのがおすすめです。
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戻し汁は、製氷皿に入れて凍らせておけば、1キューブずつ取り出して使えて便利。
味噌汁、リゾット、炊き込みご飯などの出汁として、風味豊かな仕上がりになります。 -
**茹で汁(生しいたけ・冷凍しいたけの茹で汁)**も、スープや煮物のベースに加えることで、自然な旨味が加わり、料理の奥行きがアップします。
⑥|しいたけの旨味をもっと楽しむストックアイデア
しいたけの美味しさを無駄なく楽しむための、おすすめのストック術をご紹介します。
🍄 グアニル酸キューブ
戻し汁を製氷皿で凍らせておくだけで、“しいたけの旨味キューブ”が完成。スープや炒め物、ソースに入れるだけで、風味が一段と引き立ちます。
🧂 塩漬けしいたけ
軽く塩をふって、密閉容器で保存するだけの簡単保存法。料理に少し加えるだけで、コクと香りがぐっと増します。おにぎりの具材やパスタにもぴったりです。
🧈 バター&醤油漬け
茹でたしいたけを、バターと醤油、みりんで軽く炒めたあと、冷蔵保存すれば、風味豊かな「しいたけのおかず」に。トーストにのせたり、おつまみにしたりとアレンジも自在です。
⑦|まとめとひとことアドバイス
しいたけの茹で時間や保存方法をしっかり押さえることで、日々の料理がより美味しく、より楽しくなります。
💡もう一度おさらい!
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茹で時間の目安:
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生しいたけ(丸ごと):3〜5分
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生しいたけ(スライス):1〜3分
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冷凍しいたけ:7〜10分
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干ししいたけ(戻し後):5〜6分
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加熱の基本:中心温度75℃以上で1分以上の加熱。旨味を引き出すには60〜70℃をじっくり通過させる加熱法が効果的です。
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旨味の再活用術:戻し汁や茹で汁を上手に使うことで、料理の風味がアップ。
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保存アイデアも豊富:冷凍保存、塩漬け、旨味キューブなど、自分に合った方法でストックを。
📢 今すぐできる一工夫!
「今夜のスープに、冷凍しておいた“しいたけの旨味キューブ”をポンッと入れてみませんか?」
手軽なのに、驚くほど奥深い味わいに変わりますよ♪